
- 原則として要介護度3以上の認定を受けた65歳以上の方のみ入居可能
- 全国に待機者数が50万人以上いると言われている
- 入居型介護施設としては費用が安価
介護施設と聞いて、多くの人が真っ先に思い浮かべるのが「老人ホーム」だと思います。
老人ホームには二種類あり、介護が必要ない人でも入れるのが「有料老人ホーム」、要介護状態の方が入居することになるのが「特別養護老人ホーム(正式名称:介護老人福祉施設)」です。
特別養護老人ホームを略して「特養」と呼ばれています。
特別養護老人ホームは2000年の介護保険制定時から施設数、利用者数共に純増しているものの、2016年現在で入居待機者数が50万人を超えているという需給バランスの取れていない福祉施設です。
ではこの特別養護老人ホーム、いったいどんな方が利用できるのか?そしてそのメリットは何なのか?についてまとめました。
特養を利用できる人
特別養護老人ホームを利用できるのは要介護認定を受けている65歳以上の方のみとなっています。
2015年4月の介護保険制度改定からは要介護度が3以上の方でなければ原則として入居できないようになりました。
※ただし、それまでに入居されていた要介護度1、2の方ならびに、重度の認知症などやむを得ない事情がある場合を除く。
寝たきりや認知症といった、自宅での介護が困難な方が対象の施設といえます。
特養はどういう施設なのか
特別養護老人ホームは介護サービス付きの入居施設です。
要介護度が3以上である利用者、寝たきりの利用者や認知症患者が入居され、入浴や排せつ、食事、移動といった基本的な生活介助が受けられます。
リハビリによる社会復帰などが目的ではなく、長期入居が想定されており、特養での看取りといった終末介護も珍しくありません。
特養の費用の目安
有料老人ホームの場合、入居時には100万円程度の費用がかかるのに比べて、特別養護老人ホームの場合は入居時にかかる費用は0円です。
また、施設の利用者は入居時費用とは別に、毎月の食費と居住費、介護サービスへの利用料を負担することになります。
サービスの利用料は施設の形態や居住の種類、職員の配置によって異なります。
厚生労働省によるサービス利用料の目安(1日あたり、1割自己負担額)は以下のとおり。
従来型個室 | 多床室 | ユニット型個室 | ユニット型準個室 | |
---|---|---|---|---|
要介護1 | 547円 | 547円 | 625円 | 625円 |
要介護2 | 614円 | 614円 | 691円 | 691円 |
要介護3 | 682円 | 682円 | 762円 | 762円 |
要介護4 | 749円 | 749円 | 828円 | 828円 |
要介護5 | 814円 | 814円 | 894円 | 894円 |
また、居住費と食費の基準額は以下のとおりです。
基準費用額(日額) | ||
---|---|---|
食費 | 1,380円 | |
居住費 | ユニット型個室 | 1,970円 |
ユニット型準個室 | 1,640円 | |
従来型個室 | 1,150円 | |
多床室 | 840円 |
たとえば要介護5の方が多床室を利用した場合の月額自己負担額は、814円×30日の施設サービス利用料に、1,380円×30日分の食事、840円×30日分の居住費がかかってきますので、24,420円+41,400円+25,200円=91,020円となります。
また、低所得者のための負担限度額も設定されているため、収入が低い方にとっては低価格で受けられる介護サービスと言えるでしょう。
特別養護老人ホームのメリット・デメリット
なんといってもメリットはその価格にあります。
介護サービスを受けながら居住ができる施設において、保険が効いて負担限度額も設定されることを考えるとかなり安価であると言えます。
逆にデメリットはなかなか入居できないということ。
冒頭でも書いたとおり、要介護3以上の要介護認定を受けた65歳以上の人しか、厳密には受け入れて貰えません。
そのうえ、待機者数があまりにも多いため、介護が必要な時期に必ずしも入居できないという問題を抱えています。
特別養護老人ホームで働いている人
特別養護老人ホームに従事する介護職は以下のとおり。
介護に携わるほとんどの職種が対象となっていることがわかります。