
- サービスと居住がセットになった高齢者向け住宅
- 入居は要介護度に左右されない
- ただし費用は割高になる傾向
介護施設と聞いて、多くの人が真っ先に思い浮かべる「老人ホーム」。
要介護状態の人しか入れない特別養護老人ホームに対して、介護が必要ない人でも入れる「有料老人ホーム」という施設があります。
その歴史は古く、介護保険制定よりもずっと前から実費の老人福祉施設として存在しています。
近年では介護サービスを行う有料老人ホームにて、介護サービスに関しては介護保険を受けられる施設も増えています。
その反面、無届で運営している有料老人ホームも多く、行き場のない人たちの受け皿となっているのも現実です。
ではこの有料老人ホーム、いったいどんな方が利用できるのか?そしてそのメリットは何なのでしょうか?
有料老人ホームを利用できる人
有料老人ホームには主に4つの種類が存在しています。
それぞれで利用できる条件が変わってくるので注意しておきましょう。
まずは健康型と呼ばれる施設。
これは健康である60歳以上の方が入居できる施設です。(施設によって異なります)
健康であること、自立していることが条件となっているため、介護が必要になった場合は退去を命じられることがあります。
次に住宅型と呼ばれる施設。
介護状態にある方でも利用できる施設で、有料老人ホームを自宅とみなし、そこに訪問介護のサービスを呼ぶことができるものです。
現時点での主流となります。
3つめは介護付き有料老人ホーム。
有料老人ホームが一定条件を満たす設備、または介護職員らの人員配置を行うと、特定施設入居者生活介護の認定を受けることができ、「介護付き有料老人ホーム」となります。
この場合、要支援以上の介護認定を受けている方が入居対象となり、施設への訪問サービスを受けることはできなくなります。
4つめが介護専門型の有料老人ホーム。
これは介護付き有料老人ホームにおいて、要介護の方のみを対象とした施設となっており、要支援の方や自立している方は対象外となるものです。
いずれにせよ有料老人ホームの場合はその入居基準は施設ごとに決められており、厳密にこの4つというわけではありません。
有料老人ホームはどういう施設なのか
有料老人ホームはそもそもが自費で入居する施設で、身の回りの世話をしてもらう高齢者向けの住居という位置づけです。
そのため、介護のあるなしに関わらず、居住費や食費、その他生活に必要な費用はすべて自己負担となっています。
その定義としては「食事」「介護」「家事」「健康管理」のいずれかのサービスを提供している高齢者向け住宅ということになっており、必ず都道府県知事等への届け出が必要な施設です。
ただし、届け出る際の施設基準などに一定の審査があること、そして住まいとサービスを必要とする高齢者が多いことから、無届の有料老人ホームが増えているのが現状です。
有料老人ホームの費用の目安
有料老人ホームは入居時に数万円~1,000万円台の一時金がかかることがあります。
このあたりは施設によってまちまちで、入居時一時金が0円の代わりに家賃がものすごく高い施設もあったりします。
入居の一時金、家賃、食費、光熱費、また生活に必要なものはすべて自己負担となっており、介護サービスを利用する場合にはサービス利用料の1割をさらに負担することになります。
サービスの利用料は訪問介護なのか介護付きの有料老人ホームなのかで変わってきます。
介護付き有料老人ホームにおける利用料の目安(1日あたり、1割自己負担額)は以下のとおり。
サービス料(日額) | |
---|---|
要支援1 | 179円 |
要支援2 | 308円 |
要介護1 | 533円 |
要介護2 | 597円 |
要介護3 | 666円 |
要介護4 | 730円 |
要介護5 | 798円 |
ある施設での居住費や食費の例が以下です。
月額 | |
---|---|
賃料 | 60,000円 |
管理費 | 57,600円 |
食費 | 55,800円 |
ここに入居の一時金として300万円が必要でした。
もし要介護度5の方が入居した際には、初期費用として300万円を支払ったのち、毎月798円×30日=23,940円の介護サービス費に、家賃、管理費、食費の合計173,400円が上乗せされた197,340円が基本的な費用としてかかることになります。
さらにそこにオムツなど介護に必要な消耗品があれば上乗せされますし、その他生活に必要なもの(歯ブラシ等)は自己負担で用意できなければなりません。
どちらかというと高所得者向けの施設と言えますね。
有料老人ホームのメリット・デメリット
有料老人ホームのメリットとしては、要介護状態に左右されずに施設を選べるということが挙げられます。
特養など介護保険の施設では要介護度が3以上でなければならないなど、入居に際しての介護状態が必ず基準となっています。
つまり、健康なうちから身の回りの世話をしてもらえる高齢者向け施設を探して入居できるということです。
逆にデメリットは、施設によっては健康でなくなったときに追い出されかねないこと。
また、入居するのに必要な金額が割高であることがあげられます。
有料老人ホームで働いている人
有料老人ホームに従事する介護職は以下のとおり。
ただし、介護付き有料老人ホームでなければ介護職の人員配置が義務づけられていないため、上記の限りではありません。