ポイント

  1. 介護職は底辺であるというイメージが強い
  2. 高齢者の世話、給与が安い、誰でもできると思われているのが理由
  3. 実際は社会にとってなくてはならない立派な仕事

しばしば「介護職は底辺の仕事か否か」と悩む方がいらっしゃいます。
先に言っておくと、介護職は立派な仕事です。
介護職が底辺と言い切ってしまう人は、その恩恵を受けていることを知らないでいるに過ぎません。

なぜ介護職が底辺の仕事と言われてしまうのか、そしてなぜ実際にはそうではないのかについて説明します。

介護職が底辺の仕事と言われる理由

介護職が底辺の仕事と言われてしまうのにはいくつかの理由があります。
一つずつ見ていきましょう。

お年寄りの世話をする仕事だから

介護職はどうしても「食事、排せつ、入浴」といった高齢者のお世話をすることばかりが注目されがちです。
人にご飯を食べさせることや、入浴を手伝うことは簡単に「立場が下である人」を連想させます。

その上、排泄物の処理は誰もがやりたくないと思うことです。
それをやらなければならないということからも底辺の仕事であると思わせるのでしょう。

ただし、実際に介護の現場で働いている方ならわかる通り、介護の仕事は高齢者の生活介助だけではありません。
心身のケアを通じて、QOL(生活の質)を向上させることも重要な仕事の一つです。

残念ながら現在はこうした介護の本質が世間一般に広まっていないため、「高齢者の食事や排せつの面倒を見るのが仕事」と思われてしまうわけです。

たとえそういったイメージが広まっていたとしても、心が豊かな人ほど仕事に優劣はつけないものです。
その例として、「お世話をする仕事」で共通する家政婦を雇用する家庭では、その役割の重要性を理解していることが挙げられます。

お世話をする仕事を社会的な立場が低いと考えてしまうのは、その人が育ってきた環境や受けてきた教育による心の狭さに問題があると言えるでしょう。

給与が安いから

介護職は同じ年齢の他の仕事で働いている人に比べて、仕事内容に対しての給与が低いことが知られています。
なぜ給与が低いのかというと、サービス業でありながらその財源が介護報酬に頼りっきりになっているからです。

一般的な仕事であれば、サービスの質を高めて売り上げを上げることで、給与や賞与に反映させることができます。
介護職の場合はいくらサービスの質を上げたところで介護報酬が一定なので事業所としても社員の給与に反映しづらいわけです。

同様の理由から、業界で働く年数が増えても給与が上がらないという問題もあります。
こういった部分は社会福祉全般に関わることでもあり、政府にとっての大きな課題です。

ただし、給与が安い仕事を底辺だと決めつけてしまうのも、その人の心の狭さを映していると言えるでしょう。
仕事そのものにやりがいを感じられず、給与や「楽に稼げるか否か」でしか仕事の質を量ることができないからこそ、給与が安いことを底辺の仕事と繋げてしまうわけです。

この辺りは価値観の違いなのでなかなか分かり合えない部分だと思いますが、給与が安くとも人の役に立っている、やりがいをかんじられる仕事だと思えるのなら胸を張ってよい部分です。

誰でもできる単純な仕事だから

介護職は高齢者のお世話をする仕事というイメージが強いことは前述しましたが、そういったイメージから「頭を使わずに手足を動かす仕事」だと思われがちです。

実際に働いている職員の中には何も考えずに仕事をしている人も多いでしょう。
ただしそれは介護職に限った話ではありません。
どんな職場にも与えられた作業をこなす以上のことをしない人というのは存在します。

そして介護職においても、真面目に取り組んでいる人ほどしっかりと高齢者の立場にたって行動できたり、施設や業界の将来を考えて行動しているものです。
特に自分の親よりも年上の高齢者と接し、QOLの向上を図りつつも施設の利益を考えていくといったようなことはとても単純な仕事とは言えません。

つまり「介護職は誰でもできる単純な仕事」と考えている人は、やはり業界のことが見えていないだけなんですね。

ただ、実際問題として、介護業界の慢性的な人手不足が「誰でもできる仕事」というイメージを増長させていることは否めません。
給与が安い点などから離職率も高く、施設は人手が足りなくなれば存続が難しくなるため、どんな人でも積極的に採用していってしまう現状にあります。

こういった側面から、「仕事にあぶれた人が行きつく場所」と思っている人も多いです。

実際には立派な仕事である理由

最初に述べた通り、介護職は実際には立派な仕事です。
それは何も「人がやりたがらないことをやるから」とか「お年寄りに喜んでもらえるから」といったことだけではありません。

もし、介護の仕事をする人がいなくなったらどうなるでしょうか。

要介護者を抱える家庭では、当然家族の誰かが介護をしなければならなくなります。
家族の介護をしつつ、仕事もこなすというのは非常に難しく、介護離職を余儀なくされるケースが多くなるでしょう。

介護のために離職してしまえば、その家庭での収入は激減することになり、家庭の崩壊に繋がります。
実際に家族の介護が原因で家庭が崩壊しているニュースは多く目にしているのではないでしょうか。

また、介護のために離職するケースが多くなれば、それまで働いていた職場にも大ダメージを与えることになります。
これから超高齢社会を迎える日本において、家族の介護が必要になる人の割合がいろいろな職場で増えることを考えてみてください。
どの職場でも、たとえ1割の人が介護離職をしただけでも著しく生産性が下がることは容易に想像がつくはずです。

こうした生産性の低下は日本全体の経済危機に繋がることでもあることを思えば、介護の仕事に就いて要介護者とその家族を助けているということはとても誇れる仕事だと言えるわけです。

おわりに

「介護職は底辺の仕事」などと言われるととてもショックを受けることでしょう。

でも、気に病むことはありません。
実際には仕事の地位には高いも低いもないからです。

それでも世の中には残念ながら自分の置かれている状況だけを見て上下関係を決めてしまう人が存在しています。
そんな人のために胸を痛めるのは時間の無駄です。

あなたがしている仕事が立派で誇れるものであることは、わかる人にはわかっていること。
特にサービスを受けている利用者にとっては、介護職員はいなくてはならない存在です。

胸を張って仕事に臨んでいきましょう。