ポイント

  1. 介護業界は安泰と思われているが将来的にも安泰とは言えない
  2. たとえ業界が安定していても給与が安定するとは限らない
  3. どの業界でも「この業界なら安泰」というものは存在しない

介護業界は日本が超高齢化社会になることから将来が安泰だと言われています。
たしかに深刻な人材不足が物語るように、サービスを受けたい人に対して従事者が少ないため、このままの状態が続くなら「仕事がなくなる」ということはなさそうです。

実際のところ業界は安定し続けるのでしょうか。
また、業界が安定したとして、個人としては続けても大丈夫な仕事なのでしょうか。

介護業界は安定するのか

介護業界が安定すると思われているのは超高齢化社会が背景としてあります。
サービスを必要とする高齢者がいつづけてくれれば、サービスを提供する事業も存在し続けることになるからです。

生活に密着し、利用者にとっては生きるために必要なサービスですので、流行り廃りに左右されることもありません。

では介護業界は安泰かというと、決してそんなことはありません。

利用者数が減少する可能性

現時点で見れば利用者も多く、待機者数すらいる状態なので需要が過多といえる状態です。
また、数年後を考えても団塊の世代が70代になり、高齢者の数がピークに達する頃にはより供給不足が進むでしょう。

国はそういった事態に対して手を打たないはずがありませんので、介護事業者数や業界で働く人材を増やす方向に今以上に力をいれていくと思われます。

問題はその後、団塊の世代の方たちが80代、90代となるにつれて徐々に人口の減少が始まっていくことです。
または技術の進歩により介護を必要とする人が減少するかもしれません。

そうなった時には増えすぎた事業所は需要過多から一転、供給過多になり、事業の破たんに追い込まれる可能性も捨てきれません。

全ての事業所が消えるとは考えにくいですが、業界の規模が縮小することは十分考えられるわけです。

介護保険破たんの可能性

また、現状では介護業界を支えているのは介護保険であり、介護保険を左右させることができるのは国(厚生労働省)です。
介護報酬の見直しは3年ごとに行われており、介護保険法が成立してから現在まで報酬が下がり続けているのが現状です。

その背景には国民から回収する介護保険料を上回るほどの介護サービス利用者の存在があります。
つまり、介護業界を成り立たせるための資金はすでに足りない状況になっているわけです。

サービス利用ごとに国から事業者に支払われる介護報酬がなくなれば、事業所は利用者からサービス料を全額徴収しなければ事業の存続は難しいでしょう。
そうなると現在自己負担額1割で介護サービスを受けている方はサービス利用料が10倍となり、現実問題としてサービスを利用することができなくなることを意味しています。

結果的にサービス利用者がいなくなれば、事業所は売上を立てられずに経営を続けることができなくなります。

ただし、あくまでこれは可能性の話であり、国としても介護業界を軽視するようなことはしていません。
とくに介護離職によって国としての生産性が下がることは危惧されており、今すぐに介護保健が破たんするということは考えられないと言っていいでしょう。

介護業界での給与の安定は?

数年は介護業界が安泰だとしても、個人の給与の低さも問題としてあげられます。
業界が安定しているかどうかよりも、自分の生活の安定の方が大切です。

介護業界では現時点で他の業界に比べて平均的に賃金が低いという統計がでています。

これは業界そのものの歴史が浅いことにより、成熟した人材が少なく、平均値を下げているという話もあります。
つまり、歴史が長い業界であれば年長者も多く、高給の層が多ければ平均値があがるというわけです。

ただし、介護業界は前述のとおり、財源が介護保険にあります。
つまり、全体の賃金の上限は既に決定しており、その中でいかにやりくりするかしか選択肢がありません。
歴史が長くなることで年功序列式に賃金が高くなるということはありえません。

資格取得において給与アップを図れるという声もあります。
たしかに資格を取得することで事業所内での評価はあがり給与をあげてもらえることはあるかもしれません。
ただし、資格取得者が増えたところで介護保険全体の資金が増えるわけではありませんので、介護報酬の見直しがあれば事業所としてもあなたの給与を据え置きにせざるを得ないわけです。

介護業界はいま応募して将来的につぶしが利く業界なのか

以上のことから、今の時点で介護業界が安定した職業だと言われていても、それが将来的にも同様であるとは言えないことがわかります。
そのため、将来的につぶしが利く、介護業界で働いておけば将来安泰ということはないと言えるでしょう。

ただし、それは介護業界に限った話ではありません。
どんな仕事でも外的要因、内的要因の両面から業界の存続が危ぶまれるということは考えられます。

永遠に安泰かのように思われる公務員だったとしても同様です。

重要なのはどの業界で働くかではなく、その業界で働いて学んだことをいつでも他の業界にも活かせるように自分を磨くこと。
「将来的につぶしが利くから介護業界で働く」のではなく「介護を通じて高齢者の喜びを得るという点から、サービスの本質を学ぶ」というような考え方で選択肢を広げられるかもしれません。

財政が厳しい業界だからこそ、他の業界で活かせることをたくさん学べる環境であるとも考えられます。