ポイント

  1. 介護の仕事は決して「身の回りのお世話」だけではない
  2. 知らないから見えてこない介護業界の実態もある
  3. 業界全体がイメージの改善をしなければ人員問題は解決しない

世間一般の介護のイメージというと、キツイ、キタナイ、キケンの3Kに、「給料が安い」が加わった4Kというものではないでしょうか。
一般的にはネガティブなイメージで、「重労働のわりに報われなさそう」というのが、介護業界に携わっていない人が思い浮かべる介護だと思います。

こんな記事を読みました。
TBS番組「好きか嫌いか言う時間」の現役介護士のコメントを聞いてはっとさせられた件 (藤尾智之 税理士・介護福祉経営士)

要約すると、テレビ番組において介護業界のイメージについて問われた芸人さんが「お風呂に入れたり、パンツを替えたり」と答えたことに対しての現役の介護福祉士の答えにハッとさせられるというものでした。

介護の仕事は、尊厳を守る仕事

リンク先の記事によれば、現役の介護福祉士が答えた内容は以下のとおりだったそうです。

「(お風呂に入れたり、パンツを替えたりとか)、そこが介護の一般的なイメージですが、あくまでそれは生活の一部です。介護の仕事は、自分の人生を最後まで自分らしく生きる為に何をするべきか、どうやって死んでいきたいか、どういう姿で最後を迎えたいか、ご本人の思いとご家族の思いを実現するために、お風呂のお手伝いやリハビリのお手伝いをするというものです。介護や福祉の仕事をしている方々は、一人ひとりの思いが実現できるようにとモチベーションを高くして働いています。」

つまり、介護利用者が自分らしく生活をできるように、その生活を支えて尊厳を守ることこそが介護の仕事だというわけです。
そのうちの食事やお風呂、下のお世話といった「表面的な部分」だけが伝わってしまっているから、介護にはネガティブなイメージがつきやすいということ。

この記事を読んだ時に、知人の介護関係者の姿が頭に浮かびました。

彼は若いころから介護の仕事に従事していて、「将来は介護の専門職に就きたい!」と勉強や実務を重ね、介護業界で働くということに自信や充実感を持っていたことを覚えています。
なぜそんなに介護職に魅力を感じるのか尋ねたところ、「介護って楽しいんですよ」とか「利用者の方に喜んで欲しいじゃないですか」と答えてくれました。

当時、僕はその話に全然共感出来なかったんですが、今ではなんとなくわかるような気がします。

知らないということは、イメージもわかないということ

介護業界に限らず、僕らは自分が知っていることでしか物事を判断できません。

たとえばテレビで活躍しているお笑い芸人さんを観たときに、「楽しそうでいいな」「毎日ああやってバカやってお金貰えるなんて幸せだな」と思う人も少なくないと思います。

でも、その裏で芸人さんは過酷なロケを行っていたり、地方へ営業に回っていたり、僕らの知らないようなイベントも数多くこなしていたりするんです。

さらには業界関係者に気に入られなければ仕事を貰えませんから、対人関係にも気を使っていることでしょう。
それこそ若手のうちは3Kと言われるような仕事なのかもしれません。

それでもなかなか表にはそういった姿は出てきませんし、僕らが知っているテレビの芸人さんたちは輝いていますよね。

今回の記事を拝見して、介護業界にも僕らが知らない裏の顔(当事者たちからしたら表の顔)があって、実際に働いている人たちはとても輝いているんだということを、僕らはもっと知っていかなければならないと痛感しました。

イメージの悪化が招く人員問題

さて、介護業界は常に人手不足、売り手市場と言われています。
これはネガティブなイメージの蔓延による、「働きたい」と思う人が減っていることが影響していると考えられます。

が、実はそれだけではない悪循環が起きている可能性も無視できません。

人手不足だと、施設は「誰でもいいから働いてほしい」と思うようになります。
すると、介護への興味がない人だったり、そもそも仕事に対する関心がないような人が集まりやすくなってしまう可能性もあるわけです。

もし、介護業界に「人の尊厳を守る仕事」と憧れを持って参入した人がいたとしても、先輩として働く人や上司の質が低く、職場での理不尽な扱いを受けたり、利用者の尊厳を無視するような現場を目の当たりにしてしまったらどうでしょうか。

介護の4Kは「イメージ」ではなく、「実際のこと」になってしまいかねません。

行政や施設、個人など全体で介護業界のイメージの改善に勤めなければ、深刻な人員問題の解決は難しいのではないかと思われます。