ポイント

  1. 最低賃金を上げるよう安倍首相が要請
  2. 介護サービスの賃金を引き上げることで国民の生産性があがる可能性
  3. 利益がでづらい介護サービスにおいて、誰が賃金アップの負担を背負うのかが鍵

最低賃金が大幅アップするも、東京の介護報酬は低いまま | ダイヤモンドオンライン

介護業界は賃金が低いことで有名です。
正社員として参入しても、月給12~13万円に諸手当がついて16~17万円という職場が多いのが現状。

賃金面だけをみてもそこそこ低いと思われますが、その過酷な労働環境を考えるとさらに低く感じられるものです。

上の記事では安倍首相の強い要請によって、最低賃金が3%引き上げられることになったというものでした。
これは何も介護業界に限った話ではなく、全体的な最低賃金の底上げを図るもの。

そのため、介護業界の最低賃金も当然あがりますが、最低賃金があがっただけで給与のベースアップとはならないのが現実です。

介護業界の賃金事情はなぜあまりよくないのでしょうか。

そもそもなぜ賃金引上げを図るのか

介護業界の賃金が低いことは、実は政治家にとっても好ましいものではありません。

賃金が低いということは、それだけでは生活ができない可能性があることを示しています。
そして、それだけで生活ができなければ、離職率が高まります。

離職率が高まり介護業界の人手が足りなくなれば、介護が必要な人の介護は当然家族の手に委ねられることになりますね。

高齢化社会が進む中、家族が介護に手を焼く時代が来てしまうと、日本の労働力は当然少なくなります。
これは保育も同じことで、今は保育園や介護施設に家族を預けることで自分は仕事ができ、それで家庭が成り立っているという人たちが少なくないわけです。

もし、介護を家族の手で行うようになれば、日本の産業の生産率は当然のように落ちることになると思われます。
そのため、政府としても介護や保育には積極的に賃金アップを要請したい状況にあるわけです。

介護業界の賃金が低い理由

ではなぜ介護業界で働く人の賃金は低いのか。

それは介護業界そのものが生産性のないサービス業であることと、賃金の財源となっている社会保険料に原因があると思われます。

介護業界は未だに「社会福祉」としての側面が強く、「サービス業」であるという意識が利用者にも従業員にも低いと言われています。
介護を行って利益を得る、ということを不貞だとする意見もあるぐらいです。

それでもボランティアではありませんし、公共事業ともちょっと違う、あくまで「サービス業」であることに違いありません。

サービス業と言えば、飲食店やアパレルショップを考えるとわかる通り、利用者がサービスに満足をする対価としてお金を支払うことで成り立っています。

介護業界も同様に、介護利用者が利用料を支払うことで施設は利益を得て、そこから従業員に賃金を支払う形になるわけです。

ただ、通常のサービス業とは異なり、介護業界においては他社との競争によって高いサービス料を得るというのが難しいという現状があります。
たとえばスマートフォンで言えば、iPhoneのように高額なモデルもあれば、廉価なSIMフリー機もあって、利用者が好みに応じて使い分けるということができるので、従業員の賃金を上げる方法はいくらでもあるのですが、介護ではそうはいきません。

そもそも介護利用者は介護サービス利用料のうち1割を負担する仕組みになっており、残りの9割は介護保険と国や県などの税金が負担しています。

とはいえ、利用者の負担が1割で済むのは「要介護度別に決められた支給限度額の範囲内でのみ」と決まっているため、いたずらに施設利用料を引き上げてしまえば利用者が高額な利用料を負担しなければならなくなります。

つまり、介護事業者がサービス利用料を引き上げれば従業員の賃金を高めることもできますが、その代わりに利用者の負担が大きくなる。
利用者の負担を大きくしないように支給限度額を引き上げれば、介護保険料または税金での財源をより大きく確保しなければならないため、労働者の保険料や税金が増える(可能性がある)という状況ということなんです。

最低賃金アップは単純に事業者の負担と成りかねない

もし、従業員の賃金をあげるために最低賃金の引き上げだけを考えても、介護サービス事業者としては「利用者からの利用料を多く取ることもできない」「介護保険の支給も上限がある」という状態では利益を出していくのが困難です。

事業者が利益を出していけなければ、当然その事業は成り立たなくなり倒産に追い込まれないとも限りません。
そうなれば従業員は職を失いますし、そこでのサービスを享受していた利用者も困ってしまいます。

介護サービスが充実することで国が得られるメリットがあるのであれば、どこに「賃金アップの負担」を持たせるのかが鍵となってくるのではないでしょうか。

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