ポイント

  1. EPAによる外国人介護福祉士に訪問介護を認める方針
  2. 外国人介護士の受け入れには問題もある
  3. 人材不足への対応としてよりよい制度が求められる

日本ではEPA(経済連携協定)に基づき、2008年から外国人の介護士受け入れが始まっています。
外国人介護福祉士はその資格を持っていながらも、特別養護老人ホームなど一定の施設で働くことしかできませんでした。

EPAの目的はあくまで「経済活動連携の強化」が目的であるため、単純な人員不足への対処というわけではありません。
が、実際問題として、人手が足りていない介護の現場においては極めて重要かつ、必要な制度だと考えられます。

今回は特に人員不足が深刻である訪問介護に関しての緩和措置で、これによって訪問介護施設の運営が支えられるようになるのであれば、施設にとっても利用者にとってもありがたい話ではあります。

外国人介護士を受け入れる問題

ただし、外国人介護士の受け入れ自体にも問題があるのが現状です。

EPAによって日本へ来る外国人介護士は、3年間の実務経験の後、介護福祉士の国家試験を受験して合格しなければなりません。
しかも合格できなかった場合には、それ以上日本で働き続けることができずに帰国しなければなりません。

試験は一発勝負で、「今年受からなかったとしても来年がある」というわけにはいかないんです。

そんな状態で受け入れた外国人介護士たちの介護福祉士国家試験の合格率はというと、なんと2012年から2015年までの平均で39.7%という低さになっています。
2015年は過去最高の50%という数字になったものの、現地で介護の資格を持っている介護士が日本で3年実務をしたうえで合格しづらいということは、「言葉の壁」がいかに大きいのかを物語っています。

試験以外での言葉の壁

言葉の壁はなにも試験に限った話だけではありません。

介護はコミュニケーションがとても重要になるわけですから、利用者との間で意思の疎通(とりわけ会話によるもの)がうまく取れることは絶対的な条件となってくるわけです。

利用者とのコミュニケーションと同じぐらい施設職員との意思の疎通も大切です。
「自分では判断できないことがあったので上司の指示を仰ぎたい」というような状況のとき、日本語が不自由であるがゆえに相談ができなかった、または指示内容を理解できなかった、などがあれば大問題です。

介護は特に人命に関わる行為である以上、この問題は軽視できません。

言葉の壁だけではない問題も

外国人介護士として受け入れている人材はフィリピン、インドネシア、ベトナムの三国です。
これらの国は、東南アジアという非常に近い外国ということもあり、なんとなく親近感を覚える人も多いと思います。

ですが、宗教観や生活習慣を考えると、日本とは全く別であることを痛感することになるでしょう。

たとえばイスラム教徒であれば欠かせない日々の礼拝や、宗教上の理由で食べてはいけない食事などがあります。
これらを業務に支障をきたすからと軽視することはできませんし、利用者とのコミュニケーション上で不都合がある可能性も否定できません。

また、介護利用者の生活を支えるという面から考えても、生活習慣が違う日本を受け入れる必要がでてきます。
もし入浴の習慣がない生活をしてきた人が、生まれてこのかた60年以上も入浴を繰り返してきた人の入浴介助を行うといった場合には、介護士本人も介護利用者も双方に不安が生まれることが容易に想像できます。

反対する声もあるが・・・

さまざまな理由から外国人介護士の受け入れには反対の声が上がっています。
特に外国人介護士への訪問介護を認めるということにあたっては、「自宅に見ず知らずの外国人をあげるのは怖い」という利用者の声を蔑ろにはできません。

ただし、日本へやってくる外国人介護士たちは自国においてプロフェッショナルであると認められるような人たちばかりであり、その志も覚悟も生半可なものではありません

日本の介護の現場においての申告な人材不足には、なくてはならない存在とも言えるわけです。

EPAは人材不足を埋めるための制度ではありませんが、試験の緩和措置などを含めて、より優秀な人材が日本の介護業界で働き続けられるように調節していってほしいと願います。