ポイント

  1. みずほファイナンシャルグループが社員の介護休業を支援
  2. 介護離職は日本全体を巻き込む問題となりえる
  3. 官民全体に介護に対するより深い理解が必要

みずほファイナンシャルグループが介護離職ゼロを目指し、3メガバンクで初めて介護休業の期間を2年に延長したり、休業中の介護休業給付金以外の部分についての手当を出すことや有給休暇の期限を延ばすことなどを発表しました。

介護離職ゼロは2015年の安倍政権「新・三本の矢」において掲げられているもの。
官民一体となって取り組んでいかなければならないテーマのひとつだと言えます。

要介護者を家族に抱えている人のみならず、私たち社会全体が介護離職が抱える問題についての理解を深めていかなければなりません。

介護離職ゼロとは

安倍政権が掲げた「介護離職ゼロ」とは、「介護職に就いている人の離職をなくす」ということではありません。
たしかに介護職の離職率も大きな問題ではありますが、ここでいう介護離職は「家族などの介護をするために、今働いている職場を辞めざるを得ない」という状況に陥り、離職してしまう人のことを指します。

「介護離職ゼロ」は介護施設や制度の充実を図る事で、介護はプロに任せて(または両立して)、要介護者を抱えた家族が仕事を辞めなくてもよいような状況を作ることを目指しています。

なぜ介護離職をしてはいけないのか

ではなぜ介護離職をしてはいけないのでしょうか。
理由は2つあります。

1つは日本全体の生産性が落ち、経済力が下がるからです。
介護を理由に仕事を辞めてしまう人が増えれば、当然介護離職した人が勤めていた会社の生産性は落ちることになります。
さらに仕事を辞めてしまった本人は給与面での不安が増すことになりますので、消費を抑えることにも繋がりかねません。
そして介護職の方の仕事も奪っていることにもなりますから、介護サービスの事業所があげる利益を減らすことにもなりかねないんです。

日本の社会は自給自足ではなく、あくまで資本主義的に経済が成り立っていることを理解しなければなりません。

もう1つは身体面や精神面での負担が大きくのしかかるからです。
介護離職をしてしまう人は収入に大きな不安が生まれることから、介護サービスの利用を渋る傾向にあると言われています。
介護サービスを利用しなければどうなるかというと、自分の体を使うようになるわけです。

多くの人は自分が介護をすればお金がかからないと思いがちで、自分の時間を使って介護をします。
自分で介護をすればお金がかからないのは間違いありませんが、自分が体を動かしている時間は「お金を生んでいない」という事に気づかなければなりません。

そこに気づかずに自分の体を犠牲にしていると、介護サービス同様に24時間体制で自分が介護をすることになってしまいます。

とくにそれまで介護職に就いていたような人でなければ、どこまでどう頑張ればよいのかもわからずに精神的にも重い負担となってきます。

介護離職をする人の年齢は50代、60代と、比較的体力が落ちてきている年代の方が多いことを考えても、自己犠牲で介護をするために離職することは自殺行為であると理解する必要があります。

介護離職せざるを得ない背景

介護離職がよくないとはいえ、介護が必要となったからといってすぐに施設を無条件で利用できるようになるわけではありませんし、そもそもの施設が足りない状況などからも介護離職がやむを得ない場合もあるのが現状です。

また、要介護認定を受け、介護保険の給付が受けられるようになっても給付金には限度額があることや、受けたサービスの1割は負担しなければならないことを考えると「自分で介護しよう」と思う人が増えることはなんらおかしな話ではありません。

こういった背景のなか、民間企業側から一定の賃金の保証のうえで介護休業を認められるというのは、働く社員としては「仕事を辞めなくてもいい」と思える理由のひとつになり得る素晴らしいことです。

このようなアプローチは介護離職ゼロを実現するためのキーとなるかもしれません。

介護離職ゼロへ向けて残された課題

ただし、介護を理由に休業した社員へ賃金も支払い続けるというのは、あくまで経営能力の高い大手企業だからこそできる福利厚生であることに違いはありません。
家族が要介護状態になることは中小企業の社員でも平等にあり得ることです。

民間企業からのアプローチではどうしてもその企業規模によって差が出てしまうことからも、本当の介護離職ゼロを目指すのであればやはり国の政策において解決に導かれることを期待せずにはいられません。