ポイント

  1. 自治体は不要な小規模デイサービスの設置を拒否できるようになる
  2. 小規模デイサービスは縮小方向に
  3. 利用者の受け皿が減り、介護難民が増える可能性

厚生労働省が介護保険法の改正案として、自治体が地域密着型サービスである小規模デイサービスの設置を拒否できるようにする方針を盛り込むことになりました。
各自治体は地域に競合するサービス事業者が十分いることを理由にデイサービスの設置を拒否できるようになる予定で、早ければ2017年中には実施される見込みとのこと。

介護報酬削減などによって多くのサービスで収益が悪化し、2016年には過去最高の倒産数を誇った介護事業施設ですが、小規模デイサービスに関してはこれ以上やみくもに施設が増えないことが期待されています。

なぜ小規模デイサービスの新設は抑制されるのか

小規模デイサービスは2006年にスタートした介護サービスで、1日の平均利用者が10人以下の定員の場合には看護師をおかなくて良い、空いている民家を改造するだけで始められる、介護サービスの提供は無資格者でも行えるという参入障壁の低さと、介護報酬の高さから年々事業所数が増え、2015年時点では通所介護全体の半分以上(1万8000弱の事業所数)が小規模デイサービスとなるなど急増し、介護保険サービスの中では訪問介護の事業所数を超えてトップとなっています。

政府としては介護保険の利用が特定のサービスだけに偏ることを避けることが目的で、必要以上にデイサービスを増やさない(減らしていく)方針です。

また、要介護者を抱える家族からすれば使い勝手が良いサービスである反面、前述のとおり参入障壁が低いことからサービスの質が悪い事業所が多いという問題点もあげられており、特にそういった事業所は同業者の中からも厄介者扱いされているのも事実です。

利用者目線ではどうなのか

限りある財源を有効に使うためには、なるべく介護報酬を効率的に使える施設へ投資することは仕方ないことだと言えるでしょう。
ただし、利用者目線で見れば、通っていた馴染みのデイサービスが無くなってしまうことで、他所へ行かなければならなくなるのは面白い話ではありません。

利用者の中にはデイサービスに通うということを心の支えにしている方もいることを考えると、馴染みのデイサービスではなくなることで心身に負担がかかることも考えられるのではないでしょうか。

利用者が安価でサービスを利用できるのにはどうしても介護保険が必要になってきます。
そのため、介護保険の財源問題でサービスを変えられてしまうことは仕方のないことではあるものの、そのしわ寄せが利用者に来るのはやはり間違っているのではないかと思わせられます。

事業者にとっても利用者にとっても、最初からないサービスだったのならまだしも、政府から一度与えられたのにも関わらず、取り上げられてしまうという状況は余計つらい状況になると言えるでしょう。

要介護者の受け皿が減っていく問題

介護業界で言えば、廃止予定だったものの退院後の受け皿として残った介護療養型医療施設が再度2018年度をもって廃止される方向にあるなど、変革が進んでいます。

これは医療施設であるにも関わらず介護保険が使われるということが問題になっています。
医療施設であるために医師などの高コスト人材の配置が義務付けられている反面、医療の必要性が高くない要介護者に介護施設の代わりとして利用されしまうなどから、介護療養型医療施設から他の施設への利用者の分散が狙いです。

ただし、今後増え続ける要介護者人口に対しての受け皿が減って行ってしまうことにかわりはなく、行き場を失った要介護者が増えてしまうことが懸念されています。

もはや限りある介護保険をだましだまし運用していくのは限界なのかもしれません。
政府は介護保険制度の根本から見直す必要がありそうです。